マインドフルネスについて
マインドフルネスの最近の動向
ストレスが軽減したり、精神疾患を緩和させるマインドフルネス療法は20年以上も前からありましたが、つい数年前まではマインドフルネスという言葉さえ、ほとんど世間では知られておりませんでした。
ところが、2012年頃より日本の大手のマスコミが「マインドフルネス」の効果を大きく取り上げるようになり、次第にマインドフルネスと言う言葉が大きくクローズアップされるようになって来ました。しかし、当初は「マインドフルネス」と言う言葉だけが先走りし言葉は聞いたことがあるけど、どういうものかわからない。」というのが世間の認識だったようです。
その後、マスコミ等で「ストレスに効果があるようだ」と何度も取り上げられ、インターネットで情報が多く発せられるようになり、海外の翻訳本が出版され。僧侶がマインドフルネスと言う言葉を使い。外国企業がマインドフルネスで効果を上げているようだ。精神科医や研究者によるマインドフネス学会等が発足してきました。
時の流れと共に次第にその実態が少しずつですが知られるようになり、次第にマインドフルネスが認知されてきていて、今ではマインドフルネスがかなりの存在感を持ち始めています。
日本におけるマインドフルネス
マインドフルネス緩和法
アメリカの医師が坐禅に巡り合い、坐禅の素晴らしさに感嘆し坐禅の方法を何とか医療でも活用出来ないかと苦心して出来たのが「痛みを緩和させるマインドフルネス」とされています。その為に欧米ではマインドフルネスと言いますと「痛みの緩和」として多くの方に知られています。過去に欧米に長年住んでいた方が、「マインドフルネスで痛みを直して欲しい」と私のところに何人もの方が言ってこられています。
その痛みを緩和する心理療法を精神科医が「この療法を精神科以外の医療で何とか活用出来ないか」とスタートしたのが「マインドフルネス ストレス緩和法」(MBSR)です。しかし、その欧米で発達普及したマインドフルネス療法がなかなか日本に入って来る事が出来なかった歴史があります。
マインドフルネス自己洞察法
日本の大手企業で働いていたビジネスマンが、日々の業務のストレスからうつ病を発症し、重要な職務を遂行できない状態になってしまいました。休職はしなかったものの、なんとかもとのように健康な心になりたいと思っていましたが、ある医師から仏教をすすめられてから、多数の仏教書を読み、その結果最終的にたどり着いたのが坐禅でした。坐禅をするうちに次第に本来の自分を取り戻す事が出来るようになって行きました。
その後、自分自身がうつ病から脱する事が出来たのだから、坐禅の中で心の使い方の説明を加える方法を開発して、その手法で多くの人を手助けしたいと活動を始めて行くうちに、海外で行われているマインドフルネスの手法と同じ事が多い事に気付き、マインドフルネス自己洞察法(SIMT)として活動を行っています。これが大田健次郎氏のマインドフルネスSIMTです。(英訳 SIMT : Self Insight Meditation Therapy)
仏教界のマインドフルネス
マインドフルネスの始まりに坐禅の呼吸があり、坐禅的な要素は多分にありますので仏教界(禅宗)ではマインドフルネスの広がりと共に、欧米で流行する仏教由来の瞑想法としてマインドフルネスを捉え、宗派によっては研修会や講演会の開催が行われているようですが、今後の推移を見守りたいと思います。
また、ティク・ナット・ハン氏の教えをマインドフルネスとして捉え日本において活動を行っている団体があるようです。
その他のマインドフルネス
マインドフルネスがここ数年間に盛んにマスコミが取り上げ、マインドフルネスを取り上げる事により、視聴率があがり再放送を繰り返し、マインドフルネスに関する書籍は発行部数が増し増版をくり返す事により、さらに注目度が高まっています。その結果、様々な方がマインドフルネスビジネスとして捉えるようになってきています。例えば「マインドフルネスとビジネス」「ストレスとマインドフルネス」「マインドフルネスとヨガ」のようにマインドフルネスを何らかのキーワードに結び付けて新たなビジネスが生まれつつあります。
マインドフルネス各界での認識
〇マインドフルネス学会では
「本学会では、マインドフルネスを、“今、この瞬間の体験に意図的に意志を向け、評価せずぬ、とらわれない状態で、だた観る事”と定義する。なお、“観る”とは、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の動きをも観る、という意味である、」と定義しています。
※マインドフルネスを学術や研究を目的とした学者の組織や団体の捉え方。
〇日本マインドフルライフ協会では
マインドフルネスは東洋の伝統的な思想や哲学、宗教に端を発し、2千数百年の歴史の洗練を経て、今に伝わっています。今日では仏教の世界に留まることなく、保健医療分野やビジネス社会、教育分野など、幅広い領域へと広がっています。こうしたマインドフルネスの叡智を心理領域や学術領域等、特定の領域に留めることなく、我々自身の日々の生活に取り入れ、自分らしさを実現し、周囲と調和する生き方をマインドフルライフとしています。
※特定の領域に留めることなく、日々の生活に取り入れ実践していく捉え方。
〇仏教的には
マインドフルネスのルーツには坐禅がありますので仏教的な要素は多分に存在をしています。その中で、ポイントになる事は、初期仏教[1]の中で言う八正道(八つの正しい行い)の中にある修行基本となる教え(正見・正思・正語・正業・正命・正精進・正念・正定)の実践項目になるようです。但し、仏教の基本的な捉え方になりますので、宗派等によりマインドフルネスの捉え方も変わると思いますので、現時点ではここまでにとどめておきます。
【参考に】
マインドフルネスを指導者の下で取り組む事により、次第に心が澄んで来ます。その事により、物事を正しく見る事が出来るようになって行きます。物事が正しく見る事に出来る事により、物事を正しく思う(考える)事が出来るようになって行きす。
八正道とは、その一つの項目が独立して存在をするのではなく連続して複合的に作用して行きます。
(マインドフルメイトのセッションより)
〇ウィキペディアでは、
https://ja.wikipedia.org/wiki/マインドフルネス
「マインドフルネスとは、仏教におけるサティ(正念)から、宗教的要素を除き、メソッド化した自己啓発や心理療法として用いる瞑想をベースとした、エクササイズであり、テクニックであり、状態である。マインドフルネスは、今この瞬間の自分の体験に注意を向けて、現実をあるがままに受け入れることである。また、特別な形で、意図的に、評価や判断とは無縁に、注意を払うことである。」と定義しています。
※非営利のウィキメディア財団がインターネット上で運営する、無料の百科事典サービスの掲載内容です。
〇マインドフル総合研究所では
西田幾多郎[2]の参禅の体験をもとに築き上げた西田哲学[3]をベースに、見る局面だけではなく、見る、考える、行為する、の生活のすべての局面で、自分の心理現象を観察して、社会的行動の時のすべてに、自分の内面を観察しながら人生価値を崩壊しない心の使い方をマインドフルとしています。
※マインドフルネスで病気を治すと言う視点からだけでなく、自分の心のより成長をさせる実践という捉え方。
〇マインドフルメイトでは
マインドフルネス心理療法は、現在アメリカで盛んに行われている第三世代の認知行動療法です。第二世代の認知行動療法よりも新しく、改善または回復率が高いと言われています。アメリカでの臨床試験の報告やマインドフルメイトの検証結果(エビデンス)[4]等により、うつ病、非定型うつ病、不安症[5](パニック症、PTSD=心的外傷後ストレス障害症など)、摂食障害(拒食・過食)、依存症、家族の不和などに効果があることが確認されています。また近年良く耳にする非定型うつは、薬では治りにくいと言われているうつ病ですが、マインドフルネス心理療法により改善した人も、症状が楽なった人も数多くいます。
※マインドフルネスでうつ病、不安症[5](パニック症、社交不安症など)を治すと言う視点からの捉え方。
マインドフルネスとは、どのような視点や観点で捉えるのかによって、マインドフルネスの広がりや膨らみ方も時代の変遷により今後も変わって行くと思われます。また、日本におけるマインドフルネスの認識はその歴史が浅いので、現時点ではこのように捉える事が大切だと思います。
マインドフルネスの効果
マインドフルネス心理療法は、アメリカでの臨床試験の報告やマインドフルメイトの検証結果(エビデンス)[4]等により、うつ病、非定型うつ病、不安症[5](社不安症、パニック症、PTSD=心的外傷後ストレス障害など)、摂食障害(拒食・過食)、依存症、家族の不和などに効果があるとされています。( ※ 症状の回復には個人差があります。)
マインドフルメイトでは、自己洞察瞑想法(マインドフルネス心理療法の一つ)を用いて、精神疾患の治療及び予防を行います。ストレスを排除するのではなく、ストレスを受けても自ら克服していく心のトレーニングを行います。その事により、症状が緩和したり楽になったりするのです。また再発防止にもなります。( ※ 症状の回復には個人差があります。)
その為に、マインドフルネスの手法を実施する事により、
〇ストレスが及ぼす心、体、行動への影響
●体への影響:肩こり/目の疲れ/疲労/肌荒れ/脱毛/頭痛/腰痛/不眠/自律神経の乱れ など
●心への影響:不安/落ち込み/イライラ/怒り/気力や集中力の低下/希望のなさ など
上記に関する一定の効果(症状の緩和・改善等)を感じる事は出来ると思います。但し、皆さんの置かれている環境が同じではありませんので、現在の環境や、幼少期の状況などを含めて考量して、独学ではなく適切な指導者の下で取り組む事が不可欠になります。
マインドフルメイトでは
マインドフルメイトで現在行っているマインドフルネス心理療法(STMT)では、主に「うつ病、不安症[5](パニック症、社会不安症など)、PTSD」等の診断を医師から受けた方が、その後に医師の処方を受けてもその症状がなかなか改善しない方を対象に、その方自身の本来の生活を取り戻すことを目的として活動を行っています。また、マインドフルメイトでは辛い症状が改善する事や、緩和をする事を目的とするのではなく、その症状の再発予防して行く事を目指し、その人本来が持っている自分らしさを取り戻すことを目的としています。
【マインドフルメイトの目標の定義】
○薬を飲まずに通常の生活が送れるようになる事。
○再発を繰り返さない自分になる事。
その為に、マインドフルネス心理療法(SIMT)では改善が見込められない病名の方はお受けすることはしていませんが、私たちがお受けしセッションを最後まで終了した方は、ほとんどが症状の改善を感じています。
最後に
日本マインドフルライフ協会の前理事長さんはホームページでこんなご挨拶をしています。
「マインドフルライフ」とは、「心豊かな生き方」というのが私の解釈です。
物から心へ、と言われて久しいのですが、日本の場合、1995年から20年にわたり、経済成長すらしていません。それでは心の満足が進んでいるかとなると、これもまた心もとなく、年間3万人の自殺者が続き、30歳以前の若者の死者のうち、自殺者が20%を超えるのは先進国のうちでは日本だけです。
本来、日本には素晴らしい伝統と文化そして人材がいます。自分だけ良ければ良い、と考える人は少ない国です。そうであれば、日本だけ良ければよいのではなく、日本の良さが世界にどのように貢献できるかを考えるのが、『心豊かな生き方』に繋がるのではないでしょうか。
日本は、東洋と西洋の文化と文明を総合し、清潔で平和な社会を作りました。日本が停滞しているのは、目標を見失ったからです。今、そのように考える日本人がたくさん生まれていると思います。
是非ともに手を取り合って、学び、励みましょう。
注 釈
1) 初期仏教:釈迦が生きていた時代を含む初期のおよそ150年から200年の間のプレ部派仏教をいう。
2) 西田 幾多郎(にしだ きたろう):1870~1945年 日本を代表する哲学者。
3) 西田哲学 :西田幾多郎の思想体系。日本初の独創的哲学と称せられ,大正から昭和初期にかけて大きな反響を呼んだ。参禅の体験をもとに、処女作『善の研究』 (1911) における、すべての対立、矛盾を統一的に説明する主、客分化以前の「純粋経験」を、さらに深く概念的に解明する根本原理を絶対無としての「場所」「弁証法的一般者」としてとらえた。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)
4) マインドフルメイトの検証結果:佐藤福男(2014) 『マインドフルネスのあゆみ(エビデンス)』
5) 2014年5月30日付の日本不安症学会(旧 日本不安障害学会)の通達により、
この記事は以下の方が執筆しています。
佐藤福男
〇資 格 : マインドフルネス瞑想療法士(マインドフルネス総合研究所) マタニティー / 0才児 指導者資格(幼児開発協会) 一般旅行業取扱主任者(国家資格) 〇役 職: 非営利型一般社団法人マインドフルメイト代表理事・ マインドフルネス乃学校 学校長
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